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事実婚でも、税金や保険にメリットはある?法律婚と事実婚の違いとは?

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近頃「事実婚」を選ぶカップルが増えています。事実婚とは、婚姻届の提出などの法的な手続きを踏まずに、両者合意のもとで共同生活を営むパートナーシップをいいます。社会的にも事実婚の認知が徐々に広がる中、法律婚と比べて税金や年金、保険関連はどうなるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、事実婚における税制面や保険の扱いなどについて解説します。

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  • 日本では、およそ4人に1人が「事実婚でもかまわない」と考えている(2018年度調査)
  • 事実婚の場合、所得税の配偶者控除を受けることはできない
  • 事実婚の場合でも国民年金は「第3号被保険者」に加入することができる
本文

事実婚を前向きに捉える人が増えている?

事実婚とは、お互いに結婚の意志を持ちながら同居生活しているものの、入籍の届け出をしていない状態で生活する夫婦のことで、「内縁関係」とも同義です。事実婚を公的手続きにも表明することで、事実婚を示す有力な手段となります。

昨今では、社会的にも事実婚の認知が広がっており、2018年の博報堂生活総合研究所による定点調査によれば、「入籍(法律婚)をせず事実婚でもかまわないと思う」と答えた人の割合は、2016年の同調査に比べて約4ポイント上昇し、25.7%に。およそ4人に1人が「事実婚でもかまわない」と考えているようです。

また男性よりも女性の方が約6ポイント高く、地域差はほとんどない様子。年代別では、60代は19.7%と全体より約6ポイント低く、逆に40代は、全体より約4ポイント高い30.0%となっています。

現在では、入籍の届け出をしていなくても、内縁関係にあるなど事実上の結婚をしていれば、国勢調査などでも夫婦としてみなされます。このように、入籍している状態と同程度の夫婦関係があることが公的に認められれば、事実婚でも法律婚と同程度の保護やサービスを受けることができるようになってきているのです。

欧米で強い「結婚は個人の自由」という風潮



(参照元:平成25年版 厚生労働白書https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf)

2013年版厚生労働白書によると、「結婚は必ずするべきだ」と「結婚はしたほうがよい」を合計した結婚に肯定的な人の割合が、日本は64.5%であるのに対し、アメリカは53.4%、フランス、スウェーデンでは4割を下回っています。特に欧州の一部やアメリカでは、日本に比べて婚外子の割合も高く、婚姻率の低下と並行して事実婚の増加が指摘されています。

実際に、欧州では結婚の概念に縛られない文化があり、“結婚しなければ家族になれない”という風潮はないようです。対等なパートナーシップを築きやすい事実婚について今後日本でも社会的認知がさらに進めば、結婚や入籍の概念が変化していく可能性もあるでしょう。

パートナーに家族サービスを適用する企業も増えている

事実婚であっても、「家族」として法律婚と区別なく福利厚生やサービスを受けられる事例は少しずつ増えてきています。

例えばエイチ・アイ・エスでは、同社で働く従業員について、2020年4月より事実婚・同性パートナーにも法律婚と同様の福利厚生制度を適用することを発表しています。また積水ハウスでは、2019年に事実婚の相手を「配偶者」として扱い、結婚休暇や家族手当などの福利厚生を異性婚の人たちと同等にする制度をつくると発表しました。

また、NTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクグループの大手携帯キャリア3社は、携帯電話などの契約者について、事実婚でも法律婚と同様に家族割などのサービスが受けられるようです。

事実婚の場合の税金や年金、保険はどうなる?

民間では前述のとおり事実婚でもサービスが受けられるようになりつつありますが、税金や年金などはどうなるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

所得税の「配偶者控除」は受けられない 

婚姻届を提出しているいわゆる法律婚の夫婦の場合、扶養している妻あるいは夫がいると配偶者控除を受けることができます。しかし、婚姻の届け出をしていない事実婚や内縁関係の夫婦の場合、所得税法上では配偶者と認められないため控除対象とならず、配偶者控除を受けることができません。

事実婚の場合でも国民年金は「第3号被保険者」に加入することができる

一方、事実婚の場合でも、厚生年金保険に加入する第2号被保険者、つまり会社員や公務員の配偶者に扶養される妻あるいは夫として、「第3号被保険者」に加入することが可能です。

ただし、会社員・公務員である配偶者の収入によって生計を維持されていることが条件となります。また、扶養される妻や夫は年収が130万円未満であることなど、収入要件も付きます。

つまり、所得税法上は配偶者として控除対象にはならないものの、国民年金においては「第3号被保険者」として配偶者の扶養に入ることができるということです。「第3号被保険者」の場合、保険料は配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担するため、個別に納める必要がなくなります。

事実婚の場合でも生命保険の受取人にパートナーを指定できる

たとえ法律上は入籍していなくても、生涯支えあっていくパートナーであることには変わりません。よって、生命保険の受取人にパートナーを指定できるかどうかについても気になるところです。

結論から言うと、事実婚であっても生命保険の受取人にパートナーを指定することができます。本来、生命保険の受取人に指定できるのは、原則として戸籍上の配偶者と、2親等以内の血族である法定相続人のみですが、保険会社が個々に定める要件を満たせば、受取人に指定することが可能です。

保険会社によっては、所定の要件を満たせば、死亡保険金の受取人に事実婚のパートナーを指定できます。証明書類の提出や家庭訪問などの調査を行って、原則外であっても保険金の受取人として認められるケースもあるようです。

しかしながら、たとえ受取人になれたとしても、事実婚や内縁関係では生命保険料の控除や相続税額の軽減が受けられないなど、税制面では法律婚と完全に同じとはいかず、負担増となるデメリットもあるため注意が必要です。

自動車保険の「配偶者」の定義

事実婚の場合、自動車保険の「配偶者」に適用されるかどうかも気になるところです。

自動車保険における配偶者の定義は、保険会社によって異なります。保険会社によっては、婚姻の届け出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情(内縁関係)にある場合は配偶者として認めています。

事実婚の場合、保険の適用については事前によく確認を

夫婦別姓に関しても議論が交わされている昨今。家族のあり方も時代の変化とともに多様化している中で、各企業が迅速に対応していることは喜ばしいことです。

一方で、その定義についてはまだまだ公的に統一されていない部分も少なくありません。現時点では特に税金や保険について、法律婚と同様にいかない現実もあるため、事実婚を選択するのであれば、事前に確認が必要です。今後、事実婚の社会的認知が進めば、それをとりまく制度も変化していくことでしょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

木村茉衣(ファイナンシャル・プランナー)

執筆者プロフィール

FP/事業・生活設計コーディネーター 地銀勤務を経て、IT企業にて新規事業設計・メディア事業などに従事。現在は地方創生を主軸に、中小企業・自治体の経営・PRサポートに尽力している。 関心分野は行動経済学、環境経営など。暮らしに役立つ生活経営のtipsなども発信中。 

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