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知っておけば一生役立つ!働く女性の仕事&私生活を守る「法律」

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日本でも女性の社会進出に当たり前になり、輝かしい活躍がみられる昨今。しかしながら、ほかの先進国と比較すると、まだまだ“ジェンダーギャップ(性別による格差)のない働き方”が浸透しきれていない部分も多いものです。実際に妊娠・出産を理由とする降格や解雇、マタニティハラスメントやセクシュアルハラスメントなど、不当かつ厳しい労働環境に置かれている女性もいます。そこで本記事では、女性を守ってくれるさまざまな法律について詳しく解説。“それはおかしい”と声を上げられるよう、頭の片隅に入れておきましょう。

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コラムサマリ

1.自分の身は“知識”で守る!働く女性のための「法律」を知ろう
2.3つのハラスメントとは?
3.働く女性のための「法律」-仕事編-
4.働く女性のための「法律」-私生活編-
5. 「法律」はもしものときにあなたを守る武器になる

目次

本文

自分の身は“知識”で守る!働く女性のための「法律」を知ろう

マタハラやパワハラのほか、育休・産休の取得トラブル、デートDV、ストーカー被害、離婚など、女性が生きていくうえで、困ったりつらい思いをしたりする機会もあるはずです。当人同士で解決できれば良いですが、立場上言いづらかったり恐怖心からなかなか声を上げられない機会も多いもの。そんなときに自分の身を守ってくれるのが、「法律」やそれを知っていること(=知識)です。いざというときの“味方”になってくれる、女性が知りたい法律を学んでいきましょう。

3つのハラスメントとは?

 

女性が働きやすい社会になってきた一方で、まだまだハラスメントが横行している会社も多いもの。まずは、代表的なハラスメントについて確認していきましょう。

セクシュアルハラスメント

一般的に「セクハラ」と呼ばれるもので、他者や周囲を不快にさせる性的な言動を指します。男性から女性に対するセクハラだけでなく、同性相手や女性から男性への不適切な言動も該当します。身体的特徴や性的な関心への質問はもちろん、性差別的な発言や仕事の割り当て、「おじさん/おばさん」「女の子」などの人格を否定する呼称、性的な関係や交際を迫る言動などもセクハラのひとつです。

パワーハラスメント

一般的に「パワハラ」と呼ばれるもので、地位や立場、人間関係などの優位性を悪用して、他者への嫌がらせや苦痛を強いるもの。 暴力や暴言、侮辱的な発言、適切な範囲を超えた業務内容や残業の強制、仕事を与えないなどの意図的な疎外、有給休暇取得の拒否や妨害などが対象となります。上司から部下だけでなく、対等な役職(同僚)の相手への行為もパワハラと認定されます。

マタニティハラスメント

一般的に「マタハラ」と呼ばれるもので、働く女性が妊娠・出産したことを理由として不当な扱いや嫌がらせを受けるもの。解雇や雇い止め、降格だけでなく、「育休はずるい」「産休は取らないで」など、正当な制度を受けたことによる非難や暴言などもマタハラとなります。

働く女性のための「法律」-仕事編-

ここからは、働く女性の味方になってくれる法律を事例とともに5つご紹介します。

事例①同じ職域で採用されたのに、女性の私だけ内勤。「女性は寒いのが苦手でしょう」「お茶くみするほうが似合っているよ」って言われるけど…。

こんなときに女性を守ってくれるのは「男女雇用機会均等法第6条」。同条では、会社に対して労働者の配置や昇進、福利厚生の措置、労働契約の更新や定年の勧告などにおいて、性差別的な取り扱いを禁止しています。つまり、女性だからという理由で不当に業務を割り当てられるのは違法なのです。

事例②職場の上司から「かわいいから彼氏いるよね?」「今日の服はボディラインが目立っていたよ」「飲みに行こうよ」など、メッセージが頻繁に届く。体を触られたりはしないんだけど、返信しないと明らかに不機嫌になるから困る。

直接、性的な言葉をかけられなくても、性的な関心を寄せたり、拒否することで業務に支障が出る場合は「セクハラ」になります。送っている側が単なるコミュニケーションのつもりであったとしても、「男女雇用機会均等法第11条」に基づいて、会社側は職場におけるセクハラを防止するために必要な措置を講じなければなりません。

事例③同じ立場で、成果もしっかり出しているのに給与やボーナスが男性よりも低い。

意外にも多い“賃金”に関する差別を受けた際は、「労働基準法第4条」をチェック。同条では、女性であることを理由として、賃金において差別する行為を禁止しています。

事例④メインメンバーとして頑張っていたプロジェクト、妊娠を報告したとたんにチームから急に外されてびっくり。「無理せず簡単な仕事だけして」と気遣ってくれたみたいだけど…。

相手への気遣いからであったとしても、妊娠・出産を理由とする一方的に不利益な配置換えは「男女雇用機会均等法9条」で禁止されています。合理的な変更である場合や配置換えの提案はその通りではありませんが、女性労働者が希望していないにもかかわらず、不利益な配置転換を強制する行為は「マタハラ」に該当するのです。

事例⑤子どもの病気や健診で有給を消化してしまった。欠勤扱いになるから、給与が減ってしまう…。

「育児・介護休業法第16条の2」において、小学校入学前の子どもを養育する労働者に対して、子の病気・けがによる受診や看病、子の予防接種、健康診断を受けるための休暇を取得できるものとされています。日数は子ども1人につき年間5日、2人以上の場合は10日まで付与。年次有給休暇とは別に取得できるため、必要に応じて会社に申請しましょう。

働く女性のための「法律」-私生活編-

交際や結婚、離婚など、私生活でもさまざまな変化が訪れる20~30代。私生活であなたを守ってくれる法律を事例とともに5つご紹介します。

事例①メールやSNSメッセージでしつこく交際を迫られ、プレゼントを渡される。迷惑だけど実害はない・・・これはストーカーじゃない?

「ストーカー規制法」ではつきまとい等を繰り返すストーカー行為者に警告を与えるほか、悪質な場合には逮捕できることが定められています。ストーカー行為として認定されるものとしては、つきまといや待ち伏せ、面会や交際の要求のほか、無言電話、連続した電話や電子メール、名誉を傷つける行為なども対象となります。つまりこの事例はれっきとしたストーカー行為。毅然とした態度で拒絶の意思を伝えてもなおやまない場合は、警察などに相談しましょう。

事例②事実婚中のパートナーから暴力を受けている。配偶者だったら法律があるけど、事実婚は対象外になるの?

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」では、配偶者からの暴力に関する通報や相談、保護、自立支援等の体制が整備されています。ここでの配偶者には、婚姻の届出の提出がない「事実婚」や生活を共にする交際相手、離婚した元配偶者も含まれているため、この事例も当然適用になります。保護命令が出された場合、被害者への接近禁止や電話等の禁止、被害者が同居する子や親族への接近禁止などが相手に義務付けられます。

事例③夫との離婚時、「専業主婦だから財産の取り分はなしね」と言われた。わたしだって家庭を支えてきたのに…。

離婚時の財産については、「財産分与」という制度が重要なポイントになります。これは離婚をした者の一方が、相手に対して財産の分与を請求できる制度。夫婦が共同生活を送るなかで形成した財産の公平な分配や離婚後の生活保障、離婚の原因を作ったことへの損害賠償などを目的としています。

当事者間で協議できない場合は、家庭裁判所の審判を仰ぐことになりますが、夫婦の一方が専業主婦(夫)であるケースでも、共働き家庭と同様に夫婦の財産を2分の1ずつに分けるように命じられることが多いです。なお、財産分与の請求権は離婚から2年以内に請求しなければ消滅するので注意しましょう(※2年以内に協議や調停、訴訟などで財産分与による財産請求権が確定した場合には権利は10年間消滅しない)。

事例④電車に乗っているとき、スマホの共有機能を使って卑猥な画像が送られてきた。直接触られたわけじゃないし、罪に問えないよね…。

電車内での痴漢行為には各都道府県が定める「迷惑防止条例」が適用されます。人が自由に出入りできる場所で直接体を触る行為のほか、匂いを嗅ぐ、卑猥な言葉をかけるなども該当します。近年はこの事例のように、遠隔で卑猥な画像や動画を共有する新手の痴漢行為も多く発生しており、実際に逮捕事例もあります。

事例⑤エステで高額なコース(3年間通い放題)を契約してしまった。本当は中途解約したいけど、クーリング・オフ期間を過ぎているから無理なのかな?

無料カウンセリングや体験施術のあと、望まない高額契約をしてしまう事例は意外と多いもの。そんなときは、一定期間内であれば解約や払い戻しを請求できる「クーリング・オフ制度」が消費者であるわたしたちを守ってくれます。クーリング・オフができる期間は契約の種類や内容によって異なり、一定期間と金額を超えるサービス(エステや語学教室、結婚相手紹介サービスなど)や訪問販売などは8日間となっています。

クーリング・オフ期間を過ぎている場合でも、この事例のように“契約期間内”であれば、すでに受けているサービスの料金と「特定商取引法」で定められた上限までの解約料を支払うことで中途解約が可能です。口頭でNGと言われた場合にも説明を鵜吞みにせず、契約書面を確認したり専門機関(消費者センターなど)に相談したりしましょう。

「法律」はもしものときにあなたを守る武器になる

普段は自分とは縁遠いものだと感じる法律ですが、仕事や交際、結婚・離婚、買い物など、さまざまなシーンで起こるトラブルにおいて、あなたを守る武器になってくれます。なにか悩みを抱えているときはひとりで抱え込まず、法律という知識を味方にして職場や専門機関などに相談しましょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

山本 杏奈

執筆者プロフィール

金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。

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